第1回 単純明解な「タワーマンション節税」を提案
INTERVIEW
2020.06.10ウリは”単純明快”!
資産の承継を検討するうえで相続税をいかに抑えるかは、資産家や経営者などの富裕層にとって頭の痛い問題である。
様々な相続税対策が紹介されているが、単純明快という点で出色な解決法を提案するのが、スタイルアクト株式会社(東京都千代田区、代表取締役沖有人)だ。
スタイルアクト社が提案する「タワーマンション節税」は、至ってシンプル。相続財産のうち、金融資産をタワーマンションに組み替えることで、相続税評価を下げ、相続税の節税を図るというもの。
貸せば80%の評価減も
マンションの相続税評価額は、建物と土地に分けて別々に計算する。建物の評価額は固定資産税評価額と同額である一方、土地については、マンションの敷地全体の面積を、専有部分の面積で割ることで各戸の持分が決まる。タワーマンションのように、階数が高く戸数が多い集合住宅の場合、各戸の土地の持分は非常に小さくなり、相応する形で土地の評価額も下がる。
このマンションを賃貸すればさらに評価額が下がり、結果、首都圏のタワーマンションを手持ちの現金で購入して賃貸した場合の評価減割合は、約80%にもなる。
相続税の仕組みや計算方法は非常に難解。とっつきにくい相続税に対し、難しい方法で対策を立てることを提案しても、理解してもらいにくい。相続税対策は本来的に難しいからこそ、「タワーマンション節税」のような単純明快さが、受けるのだろう。数多くある相続税対策の1つとして扱われてきた「タワーマンション節税」を、評価額を下げる切り札として提案したスタイルアクト社は、相続税対策における革命的な存在だ。
少年時代は「地理統計要覧」を愛読
子供の頃の愛読書が『地理統計要覧』だったという沖社長。「昔から、カオス(混沌)の中にあるオーダー(秩序)を見つけるのが好きだった」1998年に独立して以来、膨大な不動産データを収集・解析し、法人顧客に情報を提供してきた。
自分の意思で次世代に資産を承継する必要性を感じていた沖社長は2014年1月に『タワーマンション節税!相続対策は東京の不動産でやりなさい』(朝日新書)を刊行し、個人顧客向けの不動産コンサルティングを開始した。セミナー講師を多数務め、タワーマンション節税を広めている。
紹介物件の空室率は1.8%
もちろん「タワーマンション節税」にも、難点はある。具体的な物件選びによるリスクが大きいのだ。どのマンションを選択するかによって、利用価値や換金性などの点で資産価値に大きな差が生まれるからだ。施工などの良し悪しは、素人ではわかりにくい。購入する部屋の資産価値や運用利回りに着目した対策法であるからこそ、物件選びが肝となる。ここで失敗すると、相続税節税効果が得られないどころか、せっかく築いた財産を失ってしまいかねない。
同社は、物件選定の面でも抜かりなくフォーローしている。
貸せる物件でなければ、最大限の評価減は得られない。紹介物件の空室率は1.8%。首都圏平均の13.5%に比べて、差は歴然としている。相続発生後に部屋を売却して現金に戻すには、売りやすい物件である必要がある。購入・運用にとどまらず、売却までを総合的にサポートできるのがスタイルアクト社の強みだ。
「年間4万戸以上の販売物件を調査しても、相続税対策として推奨できる優良物件は300戸程度」(沖社長)。独自の基準や綿密な調査に基づいて選別した物件のみを、顧客に紹介している。
「個人の相続税対策を図るのみならず、眠っている金融資産を動かすことで、福祉など社会全体が抱える問題の解決にも役立てたい」と沖社長。経営哲学はブルーアイランド戦略(小規模でも未開拓で競争相手のいない事業を掘り起こす戦略)。「事業承継において不動産を活用する方法を企業経営者に提案していく」
聞き手
東京弁護士法律事務所代表
弁護士・税理士 長谷川 裕雅
スタイルアクト株式会社
代表取締役 沖 有人
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