第11回 はせがわ・カリモク家具コラボ仏壇

INTERVIEW

2020.06.11

仏壇受難の時代

和室がある家が減った。都市部の新築マンションに、和室はない。 賃貸物件でも和室があると敬遠され、借り手がつかないことも。 仏壇は和室にしか置けないという固定観念を打破しなければ、日本の家庭から仏壇が消える。先祖を弔う習慣も消える。 仏壇販売大手の株式会社はせがわ(福岡市博多区、井上健一代表)は、カリモク家具株式会社(愛知県知多郡東浦町、加藤英樹社長)と、洋室リビング用の仏壇「SOLID BOARD JUST」を共同開発し、2015年3月に発売した。売行きは好調で、業界では異例の指名買いも相次ぐ。

空間ではなく仏壇が合わせる

はせがわ営業企画部の雨谷亮太氏によると、もともと仏壇は、寺を小さくして家の中に持ち込む発想で作られたものだという。漆塗りや金箔、彫刻など、寺の意匠が随所にみられる。仏壇内部の天井部分は寺の屋根を模したものだ。 寺には地域性があり、装飾には宗教や地域性も当然に反映される。名古屋の仏壇はやはり絢爛豪華。 お国柄で差異があるのであれば、和室が消えつつある都市型生活に適合した仏壇だってあっていい。木目調を生かした仏壇などもあるにはあったが、SOLID BOARD JUSTはさらに一層、リビングになじむ仏壇になっている。 例えば色。リビングのフローリングや壁紙に合わせて、ピュアオークとモカブラウン、ウォールナットナチュラルの3色から選べる。家具では普通のことだが、「色が3種類から選べる仏壇はなかなかない」(雨谷氏)という。

省スペース、使い勝手重視、適正価格

家具メーカーとのコラボ企画は、はせがわ初。 さすが家具メーカーらしく、省スペースで使い勝手重視。奥行きは32㎝とコンパクト。供物を置く引き出しテーブルの「膳引き」は、供物を置いたまま収納できるようにした。 日本製にもかかわらず部品数を抑え、価格もできるだけ抑えた。

消費者のニーズありきで

従来型の仏壇との競合は懸念しなかったのだろうか。 「和室に合う大きな仏壇を求める方は今もいる。一方で、新しいスタイルの仏壇を提案することも重要。それぞれの消費者ニーズに応じた商品を開発していく」(雨谷氏) リビングルームをイメージした展示スペースで仏壇を選んでもらう店舗を、東京都の葛飾区と調布市に相次いでオープンした。若い女性にも受け入れられるガラス製の仏具やキャンドルなども展開し、仏壇になじみのない顧客も取り込む。 先祖の冥福を祈る。日本の尊い習慣が、和室とともに絶滅して欲しくはない。ライフスタイルに合わせた供養のありかたとして、注目したい。

ナレジックス株式会社

代表 田村進一郎

聞き手

弁護士・税理士 長谷川 裕雅

株式会社はせがわ カリモク家具株式会社 はせがわ×カリモク家具 洋室リビング用の仏壇 SOLID BOARD JUST

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